かわいい岐阜弁– GIFU-BEN –

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岐阜弁の特徴

岐阜弁と聞いて、何を思い浮かべますか?

映画『君の名は。』や朝ドラ『半分、青い。』では、物語の舞台のひとつが岐阜。登場人物の口から流れる「岐阜弁」が、関西とも名古屋とも少し違う、ほわっとした温度感を伝えてくれます。

日本のまんなか、東西の言葉文化が混ざり合う岐阜で育まれた「岐阜弁」。男性をドキッとさせる全国方言ランキング6位の「岐阜弁」。その可愛い魅力を、特徴・例・背景・話し方のコツまでまるっと紹介します。

標準語と関西弁のあいだにある言葉、岐阜弁の輪郭

岐阜県は日本列島の中央付近。東日本と西日本の言い回し、さらに愛知の語感が交差する土地柄です。その性格は方言にもくっきり表れます。

「岐阜弁」とひと口に言っても、大きく二系統が知られています。

  • 北部の「飛騨弁」
  • 南部の「美濃弁」

関西の影響だけでなく、名古屋弁・三河弁・三重弁、さらには長野・富山方面の色合いまで。周辺のことばが混ざり、耳ざわりは柔らか。東海の共通項も多いため厳密には岐阜特有と言い切れない表現もありますが、ここでは広く「岐阜弁」として親しまれている言い回しを取り上げます。

どんな特徴?代表例を4ジャンルで

語尾のクセ

  • 「〜やお」「〜やおね」
    岐阜弁の看板的な語尾。「〜だよ」「〜だよね」にあたります。関西の「〜やな」「〜やね」と近い立ち位置ですが、響きはよりやわらか。地域や場面によって「〜やよ」も使われます。

  • 「明日晴れやおね?」(明日晴れだよね?)
  • 「そうやお。」(そうだよ)
  • 「今日学校でテストあったんやよ〜。」(今日学校でテストがあったんだよ〜)
  • 「〜しとる」
    北陸・関西でも耳にする継続の言い方。岐阜でも日常的です。『君の名は。』でも頻出。

  • 「岐阜に住んどるよ。」(岐阜に住んでいるよ)
  • 「今日何しとった?」(今日は何してたの?)

接続詞の風味

  • 「〜で」「〜もんで」
    理由や因果を示すときの定番。静岡・愛知・長野でも使われますが、岐阜でもおなじみ。「〜だから/〜から」に対応します。やわらかく言うなら「でぇ」と少し伸ばすのがコツ。

  • 「バイト連勤だったもんで疲れたんやよ。」(バイトが続いたから疲れたんだ)
  • 「待ってるでゆっくり来てな。」(待ってるから、ゆっくり来てね)
  • 「だもんで、言ったやろ。」(だから、言ったでしょ)

動詞に宿る個性

  • 「あからかす」
    意味は「こぼす」。意外な語形で、覚えるとクセになります。「あかる」と短く言うことも。
  • 「シカシカする」
    「チクチクする」「イガイガする」感覚を言い表す語。喉の不快感にも使います。

  • 「味噌汁あからかしてまって、拭いとるんやよ。」(味噌汁をこぼしちゃって、拭いているんだよ)
  • 「セーターがシカシカする。」(セーターがチクチクする)
  • 「えらい」「カンカン」「シャビシャビ」
    それぞれ「大変・しんどい」「硬い」「びちゃびちゃ(水っぽい)」のニュアンス。標準語と近いようで違う、岐阜らしい言い方です。

  • 「なんべん通ってもこの坂は急でえらいわー。」(何回通ってもこの坂は急で大変だわ)
  • 「紐がかんかんに縛ってあるで解けんわー。」(紐が固く縛ってあるから解けないわ)
  • 「急に雨が降ったもんでシャビシャビや。」(急に雨が降ったからびちょびちょだ)

名詞の愛らしさ

  • 「おちょんぼ」
    結んだ髪のこと。特にお団子や、子どもの短い髪を「ちょん」と結んだ様子を指します。派生で「ひとちょん」(ポニーテール)、「ふたちょん」(ツインテール)も。

  • 「今日は暑いから、おちょんぼにしたんやお。」(今日は暑いからお団子ヘアにしたよ)

そのほか

  • 「わっち」(私)…年配層・地域限定で使用
  • 「ケッタ」(自転車)…岐阜・愛知など東海で広く通じる
  • 世代によって「漢字ドリル=カド」「計算ドリル=ケド」と短縮することも

どう育った?岐阜弁の背景

岐阜は旧都・京都と近代の中心・東京のまさに中間。関ヶ原は古来から交通の要所で、1600年の合戦を契機に政治の重心が東へ移っても、人の往来は続きました。

伊吹山地を抜ける谷に位置する関ヶ原周辺は、言葉の境目でもあります。関ヶ原から東へ数キロ、揖斐川支流の杭瀬川を越えると東京式アクセントに切り替わるほど、音の境界が鋭い地点。五街道、とりわけ中山道の整備で東西の話者が頻繁に行き交い、宿場町を介して言い回しが混ざり、平準化しながら岐阜らしい語感が形作られていきました。

話し方のコツをつかもう

  • 「やお/やおね」を「だよ/だよね」の代わりに。気分で「やよ」も。
  • 語尾は少し伸ばし気味に。「で」は「でぇ」と柔らかく。
  • 継続・既成の動作には「〜しとる」を自然に添える。

近年、若い世代を中心に方言の使用は薄れつつありますが、土地に根ざした「お国言葉」は暮らしの記憶そのもの。日常に少し取り入れて、岐阜のやわらかな響きを次世代へつないでいきたいですね。

今日から使えるクイック3

  • 「そうやお」(そうだよ)
  • 「待っとるでぇ」(待ってるからね)
  • 「ケッタで行くわ」(自転車で行くね)

岐阜県の方言一覧

※50音順

方言意味
あかすか駄目ですよ
あかんがねいけませんよ
あかんげ駄目だ
あかんぜいけませんよ
あがりはな居間の入り口の縁
あきびあけび
あきゃすか駄目です
あぐましー億劫(おっくう)だ
あげしすあげましょう
あげろうかあげようか
あさり
あっくらしい暑苦しい
あっさ(あっさり)
あったたけぇー暖かい
あっつい暑い
あにき
あのじんあの人
あのなもあのね
おまえさんあなた
あまだかぞおびただしく
ありんこ
あんさ
あんじゅう上手
あんたんあなた
あんばよーうまく
あんや
いいた言いなさった
いいなれる言いなさる
いえ
いかすと行こうと
いかっさる行かれる
いかっした行きなさいました
いかっせる(いくじゃ)行きなさる
いきる蒸し暑い
いずまかすあぐらをかく
いったい痛い
いりゃあ来なさい
いりゃあすおいでになる
いりゃあたいらっしゃった
いわっさる言われる
いんさった言いなさった
いんぴつ鉛筆
うい嫌な
うぬあなた
うまーうまい
うむす蒸す
ええもん良い物
ええや図々しい
えか念を押す場合に用いる
えがいが
えげる飽きる
えせらっこいかゆい
えっとうひさしく
えんぺつ鉛筆
おいでたいらっしゃった
おいでんさいいらっしゃっい
おかか
おくりゃあください
おしゃあなた
おじゃさおじいさん
おちょんぼ髪の毛をゴムで結ぶこと
おっとっつあんお父さん
おとましーもったいない
おめえさんあなた
おわたいでおかげさまで
おんさいいらっしゃい
かーしま裏返し
かかあ
かがはえーまぶしい
かしらわたし
かたわら白鳥
かんらんキャベツ
きめる捕らえる
くだしーよくださいよ
けそかんとぼんやりと
げばいた失敗する
こっぱい迷惑
こっペちょる威張っている
こわい恥ずかしい
さがし竹馬
さぶしいさびしい
さむう寒い
さる〜なさる
じきま(じさ)おじいさん
しっちまった〜してしまった
しみったれケチ
しんびきする迷う
すくない少ない
すくろ風呂
すげえなすごいな
すんならそれなら
ずくたれ怠け者
ずこたん
ずず数珠
せせい先生
せぶるねだる
せんばら魚の名前
ぜぇーさえ
そうけん(そうやげな)そうです
そうやなんしそうですね
そかそうですか
そめ案山子(かかし)
そやさそうです
そりゃそれは
たべらした食べた
たべんさる食べなさる
ためらう注意する
ためらって気をつけて
だあこん大根
だあだあわざわざ
だーたーだいたい
だいどこ土間
だじゃ出しなさい
だちゃへん駄目だ
だるうだるい
だんかん駄目だ
ちいこい(ちーせー)小さい
ちかちかまだたき
ちじくなるうずくまる
ちっしゃい小さい
ぢげ地元
つきあげ(つかげ)天ぷら
つけもん漬物
つずりさせコオロギ
てまい手前
てんとうさま太陽
でいこん大根
でいじな大事な
でえこ大根
でっけぇー大きい
でんがった転んだ
ときえ時計
とこところ
とふ豆腐
とべくそ(どべそく)最後
どお
どーじ路地
どーしゃあたどうなさいました
どさなーなんともない
どじっぺどじょう
どすひどく
どすこ
どだあけ馬鹿
どだまおたまじゃくし
どっちがどちらが
どっちんどちら
どべた下手
どんぴき
なーたん包丁
ないでないので
ながもん
なもんあのね
なんぜ何故
にいさ兄さん
にいじん人参
ぬかしゃがる言う
ぬたくる塗りつける
ねえ(ねえな)
ねえさま若奥様
ねさかす寝かせる
ねちこいくどい
ねばり真綿
ねぶかねぎ
ねゃあない
ねれで寝られないで
のっけ最初
のま雪崩
はいりゃーお入りなさい
はさかむはさむ
はじかいザラザラしている
はちぼくおばあさん
はよう早く
はよこい早く来なさい
はんはん二分の一
ばかしばかり
ばさおばあさん
ばっさおばあさん
ばばあ汚い
ばんき焚き物
ひーぼひも
ひかるしかる
ひずがねぇひたべら
ひたべら
ひどろう眩しい
ひなたいろり
ひねくましー年齢よりもふけて見える
ひらか下駄
びんだ女の子
ふたあつ二つ
ふだん沢山
ふりしや風呂敷
ふんでそれで
ふんでもそれでも
ふんとうか本当ですか
ふんとー本当
ふんなことそんな
ぶかい深い
ぶくり下駄
ぶちゃける(水を)こぼす
ぶっとくほおっておく
へーともねぇとんでもない
へっちゃら平気
へっつぁーこんにちは
へぼ
へんだ無かった
へんねしい妬ましい
へんねしがるうらやましがる
ほうかいそうですか
ほうかよんそうです
ほところ
ほとばかす水に浸す
ほんそ大人しい
ほんねな本当ですか
ほんのいも里芋
ぼうさ坊や
ぼくのとこ僕の所
まあたらしいの新品の
まいげまゆげ
まいこまいこいつもいつも
まえど毎度
まっかっか真っ赤
まっちょって仲間にして
まめなかえお達者ですか
まわし用意
みえんさった来られた
みじけえ短い
みちょる見ている
みらずに見ないで
むあい(むさあ)汚い
むじょうぎありがとう
むちゃんこめちゃくちゃ
むつ茶碗蒸し
むつかいん困難
むてんぽ無鉄砲
むらうもらう
むらってもらって
めたたきまばたき
めめくじなめくじ
めめぞみみず
めれたいめでたい
めんば弁当箱
もさぁ悪い
ものすごい大変
やーこと(やっくと)故意に
やっとか長く
やっとかめやなもお久しぶりですね
やっとく長く
やめむ痛む
やあやあやめなさい
やわう着飾る、支度する
やんばよううまく
ゆうさ
ゆうさり夕方
ゆうなべ夜仕事
ゆきしな行きがけ
ゆきなるお行きになる
ようさ
よからず良かろう
よこいとる変だ
よみぁあ読めば
よんなべ夜仕事
らあずでしょう
らせんない
らちゃかんいけない
りゃーおんライオン
だろう
ろーそ老僧
わいら私達
わしゃ(わっちゃ)私は
わて(わひ)
わひんとろ私のところ
わら(わんにゃ)あなた

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